【ティロル地方解放戦争150周年記念】

　19世紀初頭、ナポレオン率いるフランス軍に敗れたオーストリアは、ティロル地方をフランスの同盟国だったバイエルン王国に割譲しました。しかしティロルの住民はバイエルンによる統治に不満を募らせ、1809年に農民を中心とした武装蜂起が勃発しました。
　彼らを率いたアンドレアス・ホーファー(1767年～1810年)はフランス・バイエルン連合軍を相手にしぶとく戦い、一時は占領軍を撤退させ独立政府を樹立したほどでした。しかしナポレオンの反撃によって追いつめられて逃亡。一時は1500グルデンの懸賞金をかけられましたが、1810年に捕えられ、フランス軍によって銃殺刑に処されました。

　現在までアンドレアス・ホーファーはナポレオン支配の抵抗者、自由の闘士として、ティロル地方だけでなくオーストリアの歴史的英雄となっています。

　1959年に発行された記念50シリング銀貨は、1809年の蜂起から150周年を記念したものであり、帽子を被ったアンドレアス・ホーファーの正面肖像と、「1809」「1859」の年銘が表現されています。周囲には「TIROLER FREIHEIT (ティロルの自由)」銘が配されています。
　裏面の中央にはティロル州の鷲紋章を大きく配し、その周囲に当時のオーストリアを構成していた八つの州の盾紋章が配されています。