• ルキラ妃/ピュディキティア女神
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 このデナリウス銀貨はマルクス・アウレリウス帝とルキウス・ウェルス帝の共同統治期に、ローマ市内の造幣所で造られました。裏面に表現されたピュディキティアは女性の貞淑を象徴する女神像であり、ローマ人女性の模範とされる観念を具現化しています。


 ルキラはルキウス・ウェルス帝の妃であり、マルクス・アウレリウス帝の長女でした。また暴君として知られるコンモドゥスの姉にあたります。
 父帝マルクス・アウレリウスは義理の弟を共同統治帝に任じた後、その関係性をより強固なものにするため、15歳のルキラを義弟に嫁がせました。結婚から5年後にルキウスが亡くなると、側近だったティベリウス・クラウディウス・ポンペイアヌスと再婚、AD180年に父帝が亡くなってからは皇帝コンモドゥスの姉として影響力を保ちました。しかしAD182年、夫と企てたコンモドゥス暗殺計画が露呈し、人間不信に陥った弟によってローマから追放、流刑先のカプリ島で生涯を終えました。一説には処刑されたとも云われています。

 高貴な生まれと悲劇的な最期から、ルキラは後世の創作物語の中ではヒロインとして描かれることが多く、映画『ローマ帝国の滅亡』(1964)や『グラディエーター』(2000)では物語の重要な役どころとして登場します。


 

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