• テュケ女神/狼とロムルス&レムス
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 3世紀半ば、ローマ帝国統治下の小アジアで造られた銅貨。帝政ローマ時代、主に小アジアの都市で発行された銅貨の内、時の皇帝や皇族を表面に刻まず、土着の神や女神を打ち出したタイプのコインを「Pseudo-autonomous(擬似自治)」と称します。トロアスのアレクサンドリアは、かつてトロイがあった地域にアレキサンダー大王が建設した都市であり、現在はダルヤンと呼ばれる地域です。ダーダネルス海峡の付近にBC334年頃に建設され、当時は「アレクサンドリア・トロアス」と称されていました。


 表面のテュケは「運命」を司る幸運と機会の女神であり、ローマでは「フォルトゥーナ」の名で崇敬を集めました。古代ギリシャ・ローマで広く知られたテュケ(フォルトゥーナ)は人々に幸運をもたらす女神とされていました。一方で、移り気な性格でもあり、幸運を与える人間の性質を問わず、女神が気に入った人間に「好機」を与えることもあれば、気まぐれに奪い去ることもあるとされていました。その為、ローマ時代以降に表現されたフォルトゥーナ像は目隠しをされていたり、不安定なことを象徴する球に乗せられている例が見受けられます。

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 このコインに表現されたテュケ女神は、城塞風の特徴ある冠を戴いています。これはテュケ女神が都市の守護女神であることを示しており、またその役割を期待したものであると考えられています。



 コインの裏面には、ローマ建国神話に登場する重要な一場面、幼きロムルスとレムスに乳を与える雌狼が表現されています。テヴェレ川から流れ着いた幼い双子を助けたのは、近くを通りかかった一匹の雌狼でした。

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 この有名なモティーフはローマ本国をはじめ、帝政時代は属州で発行されたコインにも盛んに採用されました。ローマ本国から遠く離れた地域であっても、ローマ帝国の支配力を誇示する必要があったのかもしれません。特に小アジア西部の都市で発行された銅貨の裏面には、このモティーフを取り入れたものが多く発見・確認されています。


 

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