• ローマ神/ビガのヴィクトリー神と猛獣を討つ剣闘士
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 紀元前2世紀、共和政時代の古代ローマで発行されたデナリウス銀貨。

 表面には翼付き兜を被ったローマの守護女神像が打ち出されています。その左側には麦穂、顎下には「XVI」のモノグラム銘が刻まれています。このモノグラム銘は当時のデナリウス銀貨一枚が、アス銅貨16枚の価値に相当したことを示しています。

 裏面にはビガ(二頭立て馬戦車)を駆ける勝利の女神ヴィクトリー(ウィクトリア)が表現されています。上部には発行都市ローマを示す「ROM(A)」銘が刻まれています。
 画面の奥には、猛獣と戦う剣闘士の姿が確認できます。今にも飛び掛ろうとするライオンを槍で迎え撃つ、迫力ある一瞬の場面です。古代ローマでは剣闘士試合が市民の間で流行していました。生死を賭けた流血の試合は、ローマ市民にとって最も興奮する娯楽の一つであり、為政者はその提供を重要な施策のひとつと捉えていました。
 剣闘士同士の戦いだけでなく、属州や異国から連れてきた珍獣や猛獣も際立った見世物でした。特に剣闘士と猛獣の決死の戦いは人気があり、多くのライオンや豹がローマに連れてこられては消費されていったのです。猛獣と戦う専門の剣闘士は「ベスティアリイ(闘獣士)」と称され、長槍を持って猛獣と戦う姿が当時の壁画やモザイクなどに残されています。

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