キストフォルス銀貨は主に小アジア西部で流通し、一枚でデナリウス銀貨三枚の価値に相当した。現地に駐留する兵士の給与としても用いられた。

　裏面に表現された神殿は守護女神ローマと初代皇帝アウグストゥスを奉る神殿であり、小アジアにおける皇帝崇拝の拠点となった。同様の神殿はアンキュラやペルガモンなど小アジアの主要都市に建立され、都市参事による会合や競技大会などが開催された。
　神殿には「ROMA ET AVG (=ローマとアウグストゥス)」銘が配されているが、内部には幸運の女神テュケから戴冠されるクラウディウス帝が表現されている。