アメリカのダイム(=10セント)貨は1964年までは銀品位90％で製造された小さな銀貨でした。しかし銀価格の上昇に伴い、1965年以降は銅とニッケルの合金によって製造されるようになり、現在に至ります。

　表面には第32代大統領フランクリン・D・ルーズベルト、裏面には平和を象徴するオリーヴと自由を示す松明、勝利を意味するオークが表現されています。

　ルーズベルト大統領が1945年4月に没すると、その肖像を流通コインに表現する機運が高まり、翌年の1946年1月にはダイム銀貨の新デザインとして採用されました。企画から急ピッチで準備が進められたにも関わらず、このダイムは第二次世界大戦後のアメリカで定着し、素材を変えながらも今日まで発行され続けています。
　しかし戦後の冷戦下における赤狩りの時代には、共産主義やソ連に対して親和的だったルーズベルトをコインに表現することに対して批判的な意見も上がりました。肖像の首下部分に刻まれた彫刻者ジョン・R・シノックのイニシャル「JS」が、ソ連のヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)の頭文字と誤解され、合衆国造幣局内にソ連のスパイが紛れ込んでいるとも噂されました。


※ネックチェーン別売り