• ボスポロス王国 サウロマテス2世/コンモドゥス帝
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 2世紀末、黒海北部のボスポロス王国で発行されたスターテル貨。金と銀の自然合金 エレクトラムによって造られています。

 ボスポロス王国は現在のクリミア半島を中心に栄えたギリシャ系の王国であり、紀元前5世紀の半ば頃に成立したとされます。首都はクリミア半島東部のケルチ海峡に建設された植民都市 パンティカパイオンに置かれ、ギリシャ本土との交易によって繁栄しました。スキタイなどの北方~エーゲ海に至るルートの要衝を押さえ、穀物や工芸製品、奴隷まで幅広い商品が取引され、王国の富と繁栄を支えました。またこうしたコインは交易の過程で国外にも流出し、貴重な取引品の一つでもありました。


 紀元前1世紀には黒海に進出したローマに従属し、その保護下に入ることで王国の存続を図りました。ローマの属国となった後に発行されたコインには、表面には現地の王、裏面に宗主であるローマ皇帝の肖像が表現されました。皇帝が代わる度にその肖像も変わり、ローマから遠く離れた辺境の地にまで情報が伝わっていたことが分かります。



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                    サウロマテス2世の胸像

 表面にはボスポラスの王 サウロマテス2世(=ティベリウス・ユリウス・サウロマテス2世 フィロカエサル・フィロロマイオス・エウセベス, 在位:AD173-AD210)の肖像、裏面には当時のローマ皇帝 コンモドゥス(在位:AD180-AD192)の肖像が表現されています。コンモドゥスの肖像は本国で発行されたものよりも簡略化されていますが、個人的な特徴をとらえています。

 特筆すべきは表面 サウロマテス2世の右側に配された「棍棒」です。それまで発行されていたコインには見られませんでしたが、コンモドゥス帝の治世末、AD190年頃に発行されたコインにのみ登場する特徴です。ローマ本国のコンモドゥス帝はこの時期、誇大妄想に拍車がかかり、自らを「ローマのヘラクレス」と称して公的な称号にも加えました。ボスポロス王国でも宗主の意向を汲み取り、ヘラクレスの象徴である「棍棒」を新たに意匠の一部として追加したものとみられます。

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              ヘラクレス風のコンモドゥス帝 (エスクィリーノ美術館)


 

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