• 医神アスクレピオス/ネメシス女神
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 ローマ帝国統治下の小アジア、フリギア地方の古代都市 ヒエラポリスで発行された銅貨。当時のローマ皇帝の肖像は無く、現地で信奉されていた神が表現された「Pseudo-autonomous (=擬似自治)」タイプのコイン。一般的に都市とその周辺地域のみで流通したコインだったとみられています。

 ヒエラポリスは現在のトルコ、パムッカレに存在した都市であり、豊富な石灰岩と熱水泉から温泉保養地として発展しました。ローマ帝国時代には大浴場や円形劇場が建設され、ハドリアヌス帝も小アジア視察の際に立ち寄ったとされています。14世紀半ば大地震によって壊滅、放棄されましたが、遺跡は1988年にパムッカレの石灰棚と共に世界遺産に登録されました。


 ヒエラポリスは「聖なる都市」を意味し、温泉による治癒の効果も期待されていたとみられます。そのため同都市で発行されたコインには、フリギアで広く信奉されていた医術の神 アスクレピオスが表現されています。右下には、アスクレピオスの象徴である「蛇の巻きついた杖」が配されており、医神であることを示しています。

 一方、裏面には天罰を下す女神 ネメシスの立像が表現されています。勝利の女神ニケのような背翼を有するネメシスは、しおらしく右手でキトンの端を摘まみながら、左手で馬の轡を持っています。ネメシスは人間の驕り高ぶり、傲慢を諫める女神とされ、不当に対する義憤の象徴とされていました。ネメシスが表現されたコインの例は非常に少なく、大変珍しい存在です。そもそも温泉保養地として発展した都市のコインには不釣合いな女神像であり、この意匠が取り入れられた経緯も興味深いといえるでしょう。


 

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