バルビヌスは同じく元老院議員だったプピエヌスと共に皇帝に選出され、共同統治を行いました。しかし同僚であるはずのプピエヌスとは常に不仲であり、正常に統治を行うことが困難なほどでした。親衛隊をはじめとする軍人達は仲違いする両皇帝に見切りをつけ、二人を殺害し若きゴルディアヌス3世を新たな皇帝に推挙しました。

　バルビヌスとプピエヌスによる共同統治はわずか3ヶ月に終わり、その短い治世に発行され現存するコインは大変貴重です。このコインでは裏面に握手図と「CONCORDIA AVGG (皇帝たちの協調)」銘が刻まれています。二人の皇帝による安定した協調体制を宣伝するデザインであり、大半は支持を繋ぐために直属の兵士たちへ支給されたとみられています。短い期間に発行されたとはいえ、その顛末から考えると非常に皮肉なコインといえます。