• マルス神/兵士たちと子豚
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 紀元前2世紀、共和政時代の古代ローマで発行されたデナリウス銀貨。表面には軍神マルスの横顔像、裏面には子豚を抱きかかえた男を囲む兵士たちが表現され、上部には発行都市ローマを示す「ROMA」銘が刻まれています。

 一見すると剣を持った兵士たちが子豚を追いつめ、真中の男がそれを庇おうとしているようにも見えますが、表面にマルス神が表現されていることから、当時の軍で行われていた儀式を表現しているとみられます。真中の男が軍に入隊するに伴い、二人の兵士が立会人(特に左側の兵士は髭を生やし、腰も曲がっていることから、古参兵または年長の老兵とみられる)として儀式を執り行っている姿とみられ、子豚はマルス神に捧げられる犠牲獣と解釈できます。

 このコインはローマコインの歴史にとって画期的な存在でした。それまで75年にわたってデナリウス銀貨のデザインは「ローマ神/騎馬(戦車)像」という伝統的デザインが守られ、脈々と継承されていました。しかしBC137年に発行されたこのデナリウス銀貨は、その慣習を打ち破るものでした。ローマコインの変遷を見てゆくと、これ以降に発行されたデナリウス銀貨のデザインは徐々にバラエティが豊富に、そして自由なものになっていったことが分かります。

 この年にローマと軍にとって、重要な転機が訪れていたことの証かもしれません。古代ローマの軍の様子が垣間見える、興味深い存在のコインです。


 

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