• ビザンチン帝国 ソリダス金貨 ヘラクレイオス親子
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 7世紀のビザンチン(東ローマ)帝国で発行されたソリダス金貨。当時のソリダス金貨は、薄手ですがほぼ純金で造られており、品位や重さも一定していたことから交易用に多く用いられました。柔かい金を薄く打ち出している為、特に肖像などが磨耗しやすく、ここまで細部が明瞭に残されているものは大変希少です。

 表面には皇帝ヘラクレイオス1世(在位:610年~641年)と息子ヘラクレイオス・コンスタンティノス(後のコンスタンティノス3世)が並ぶ肖像が打ち出されています。このタイプの肖像は発行年代が下がるにつれて、ヘラクレイオス1世の頬髯が伸び、コンスタンティノスが成長してゆくという、興味深い変遷を見せています。皇帝親子は十字架が据えられた宝冠と法衣を身に纏い、さらに頭上には小さな十字架が配されています。明瞭に残された図案の細部から、ビザンチンの金細工、芸術、技術力の高さを窺い知れます。まさに中世の宝物と言っても差し支えないでしょう。


 ヘラクレイオスは暴君と云われたフォカス帝に反旗を翻し、自ら皇帝に即位して「ヘラクレイオス朝」の始祖となりました。彼の治世下で、ローマ帝国以来公用語だったラテン語に代わってギリシャ語が公用語となり、東ローマ帝国はギリシャ文化を背景とするビザンチン帝国へと変化してゆきました。

 当時のビザンチン帝国はササン朝ペルシアによる侵攻に悩まされており、ヘラクレイオスが即位した頃にはホスロー2世率いるペルシア軍がコンスタンティノポリスの目前にまで迫っていました。ヘラクレイオスは自ら軍を率いてこれを迎撃し、奪われていたシリアやパレスチナを奪還しただけでなく、敵の首都クテシフォンまで占領したのでした。

 このクテシフォン占領に際し、ペルシア軍がパレスチナから戦利品として持ち去っていた「キリストの十字架」も奪還することができました。かつてイエス・キリストが磔にされ、ヘレナ皇后が発見したと伝えられる聖なる十字架は、ヘラクレイオスの手によって再び聖地イェルサレムへ還されたのです。

 伝承によれば、ヘラクレイオスが自らこの十字架を運んでゴルゴダの丘を登ろうとした際、不思議と一歩も進めなくなってしまいました。すると天使が現われ、「主はあなた方が持ってきたように、この十字架を運んだのではない」と告げました。ヘラクレイオスが身につけていた豪華な装束を脱ぎ捨て、質素な服装になると、その後は容易く十字架を運ぶことができたと伝えられています。


 

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