• ローマ帝国 エジプト属州 クラウディウス帝/メッサリナ妃
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 ローマ帝国統治下のエジプト属州都、アレクサンドリアで発行されたテトラドラクマ貨。

 表面には、第四代皇帝クラウディウス (在位:AD41年~AD54年)の横顔肖像が打ち出されています。顎下に刻まれた「L Δ」銘は、皇帝の治世四年目(=AD43年~AD44年)を表しています。
 裏面には、クラウディウス帝の皇妃 ウァレリア・メッサリナの立像が表現されています。メッサリナは豊穣の女神 デメーテールの如く麦穂を抱き、右手上には二人の小さな子どもを載せている。この子どもたちはクラウディウス帝との間に生まれた二人の子、オクタウィアブリタンニクスを表しています。その周囲部には「ΜΕΣΣΑΛΙΝΑ ΚΑΙΣ ΣΕΒΑΣ (メッサリナ皇妃)」銘が刻まれています。


 ウァレリア・メッサリナは30歳以上年上のクラウディウスとの間に生まれた息子を次期皇帝にすべく、敵対する人々を策略によって失脚、処刑したと伝えられています。高齢で障害があり、内向的な性格だったクラウディウスに対して、若いメッサリナは社交的で魅力的な女性だったとされ、また権力欲が強い人物だったと評されています。俗説ではメッサリナの醜聞はローマ市民に広く知られており、多くの愛人と関係するには留まらず売春婦に扮していたという噂も流布されていました。
 しかしメッサリナが愛人と結婚式を挙げた時、夫クラウディウスはついに自らの帝位まで奪われると心配し、兵士達にメッサリナと愛人の処刑を命じます。愛人ガイウス・シリウスはクラウディウス帝の目前で殺害され、メッサリナは夫の命令で駆けつけた兵士によって処刑されたのでした。

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                      メッサリナの最期

 死後のメッサリナは強欲と色情狂の代名詞となり、ローマ史に名高い悪女の一人として知られるようになりました。その淫行や冷酷さから、後世には多くの芸術家によって絵画や彫刻、歌劇の題材に取り上げられたのです。


 当時のエジプト属州で発行されたこのコインには、皇帝一家四人の姿が一枚に表現されています。メッサリナが処刑される前に造られた、理想的なローマ皇帝像が残された興味深いコインです。


 

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