• ウェスパシアヌス帝/ユダヤ人捕囚
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 ウェスパシアヌス帝の治世最初期に発行されたデナリウス銀貨。このコインはユダヤ属州での叛乱(ユダヤ戦争)を制した記念に発行されたものとされています。裏面にはローマ軍の戦勝トロフィーが表現され、傍らには捕囚の身となったユダヤ人が座らされています。下部にはユダヤを示す「IVDAE(A)」銘が刻まれています。

 1世紀当時、イェルサレムをはじめとするユダヤ属州はローマ帝国によって統治されていました。しかし一神教を奉ずるユダヤ人社会を統治することは難しく、度々叛乱が勃発しました。特に大きかった叛乱が、ネロ帝治世のAD66年からはじまった「ユダヤ戦争」です。

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                  ローマ軍によるイェルサレム包囲戦

 聖都イェルサレムでの暴動を契機に始まった叛乱は7年にも及び、ユダヤ人の過激派や原理主義者を巻き込みながらユダヤ属州全体に広がりました。ローマからは、後に皇帝となるウェスパシアヌスとその息子ティトゥスが派遣され、叛乱軍の鎮圧にあたりました。

 この最中にネロ帝は自害し、その後ガルバ、オットー、ヴィテリウスらによる皇帝位の争奪が始まったため、ウェスパシアヌスは息子ティトゥスを現地に残し、軍を率いて首都ローマへ進軍しました。AD69年12月にウェスパシアヌス軍がローマへ入城すると、宮殿に隠れていたヴィテリウスは引きずり出され、フォルムで責めを受けた上でテヴェレ川に投げ込まれました。こうしてウェスパシアヌスは皇帝となり、ローマ帝国のフラウィウス朝時代が始まったのです。

 その頃、ユダヤの叛乱軍はイェルサレムを拠点として立て篭もり、迫るローマ軍を相手に必死に抵抗しましたが、AD70年にはティトゥス率いる大軍に包囲され、ついに陥落します。イェルサレムに入城したティトゥス軍は街内を徹底的に破壊、略奪し、イェルサレムの大神殿も破壊されました。この破壊の際、焼け落ちた神殿で唯一残された壁の一部が、現在ユダヤ教の聖地となった「嘆きの壁」です。

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                      イェルサレムの陥落

 このコインは皇帝になったばかりのウェスパシアヌスが、自らの軍事的功績であるユダヤでの勝利を早々に宣伝するために発行したものとみられます。同タイプのコインはこうした歴史的背景から、欧米では人気のあるローマコインのひとつです。


 

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