• アテナ女神/アルテミス女神
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 紀元前3世紀末、シチリア島の都市国家シュラクサイ(シラクサ)で発行された12リトラ銀貨。この美しいコインは、カルタゴとローマが戦った第二次ポエニ戦争中、ローマ軍によるシラクサ包囲戦の最中に発行されました。シラクサは芸術性の高いコインが数多く知られていますが、その技術は戦争中でも変わることはありませんでした。


 表面にはコリント式兜を被ったアテナ女神の横顔像が表現されています。耳飾りと首飾りを身に付けた女神は天空を見つめ、凛凛しい軍神の姿で表現されています。兜から出た長髪は後ろで束ねられ、動きやすいようにしています。

 裏面には月と狩猟の女神 アルテミスが表現されています・矢筒を背負ったアルテミス女神は、左に向かって弓を構えており、その足下には猟犬が勢いよく飛び出しています。非常に写実的で、躍動感のある表現です。2200年以上前から、犬が人間にとって非常に身近な動物だったことが窺えます。アルテミス女神の右側には、発行都市シュラクサイを示す銘「ΣΥΡΑΚΟΣΙΩ(Ν)」が刻まれています。

 その造形の美しさやバランス、細かさはまさに古代ギリシャ文明の小さな彫刻であり、芸術的宝物に他なりません。



 2年に及んだローマ軍の包囲は、シラクサ軍の粘り強い篭城戦によって簡単には破られませんでした。このときシラクサ軍に新兵器を提供したのが、世界史上特に有名な科学者アルキメデスだったと云われています。当時シラクサに居住していたアルキメデスは、老人ながら自らの知恵を提供することで祖国の戦いに貢献したのです。

 熱光線によって敵の戦艦を燃やしたり、巨大なクレーンによって接近した船を転覆させたなどと伝えられるアルキメデスの新兵器は、その実態は不明ながらもローマ軍から恐れられ、その才能を高く評価されることになりました。

 しかしBC212年にシラクサが陥落すると、侵入したローマ軍によって町は占領され、シチリアで最も繁栄したギリシャ植民都市シラクサは独立を失います。その際、市街に侵入したローマ兵によってアルキメデスは殺害されました。シラクサが最後に生み出した天才の辿った悲劇的な死は、敵軍ローマの将軍をも悲しませ、その後はローマ軍によって立派な墓標が建てられたといわれます。

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                     アルキメデスの最期

 ローマ軍が市街地に侵攻した際、アルキメデスは自宅の庭先で幾何学の計算に没頭していたと云われています。その様子を見ようと近づいてきたローマ兵に「私の図形を壊すな!」と怒鳴ったため、逆上したローマ兵に斬殺されたとされます。天才科学者らしい最期の言葉は特に有名ですが、この逸話は半ば伝説となり、実際にはどのような状況で最期を迎えたのかは不明です。

 歴史的な名場面と同じ時期、同じ場所で造られた古代のコイン。その状態の良さからも、大変貴重な遺産です。


 

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