• イオニア フォカイア エレクトラム貨 ニンフ
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 紀元前4世紀、小アジア西部のイオニアで発行されたヘクテ貨。金と銀の自然合金エレクトラムによって造られた、小さく美しい古代コインです。

 表面には、清らかな自然に住まう精霊 ニンフの横顔像が打ち出されています。頭部はヘアネットのような布で纏められ、その上からヘアバンドのようなリースを巻いています。髪の毛の細やかな流れまで表現された、大変美しい乙女像です。1cmほどの非常に小さなスペースに、ここまで細かい造型を打ち出せる技術力は熟練でなければ不可能だったでしょう。


 美しいニンフはギリシャ神話に数多く登場し、美男神アポロとの恋愛や大神ゼウスの浮気相手、アルテミス女神の取り巻きなどにみられます。都市名や植物などの由来となったニンフも多く、ダフネ(月桂樹)やエコー(木霊)もニンフの悲恋物語から生まれた名称とされています。


 こうしたエレクトラム製のヘクテ貨は、イオニアのフォカイアとレスボス島のミティリーニ(ミュティレネ)で盛んに造られ、多種多様なデザインが存在します。フォカイアで発行されたヘクテ貨の裏面には、共通して卍型の四分割刻印が打たれています。
 ヘクテ貨は小さいこともあり、磨耗しているもの、打ち出しがずれているものが多くみられますが、このコインはほぼ中心に打ち出されています。かすり傷も無く、オススメできる美しい保存状態です。


 

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