• ローマ教皇領 1815 1スクド銀貨 雲上の聖母マリア
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 19世紀初頭のイタリア中部、ローマ教皇領で発行された大型の1スクド銀貨。このコインはナポレオン戦争が終結し、ヨーロッパの秩序が大きく変化した1815年に発行されました。ローマ教皇領はナポレオンによって侵攻され、一時フランス軍の占領下にありましたが、ナポレオンが失脚した1814年に独立を回復しています。

 この大型銀貨はそうした激動の時代でありながら、カトリックの宗教観と優雅、豪華絢爛さを芸術的に表現しています。その保存状態も大変良く、聖母マリアの表情や教皇の紋章など、細部まで残された状態です。また全体に程よくトーンがかかっている点も、200年のヨーロッパの歴史を感じさせます。

 表面には、雲上の聖母マリアが表現されています。カトリックにおいて聖母マリアは重要な地位を占めた聖人であり、様々なルネサンスの宗教芸術にも表現されています。このコインでは、そうした宗教絵画のような表現がなされています。
 ヴェールを被った聖母マリアは、天国を思わせる雲の上に座り、右手で鍵、左手に建物を持っています。おそらく建物は「天国の門」、そして鍵はその門を開けるためのものと推察されます。聖母の足下に配された小さな紋章は、ローマ・カトリックの枢機卿の紋章です。

 裏面には当時のローマ教皇 ピウス7世(在位:1800年~1823年)の大紋章が表現されています。19世紀最初のローマ教皇を務めたピウス7世は、フランス皇帝ナポレオンの戴冠式を執り行ったことでも知られます。その後ナポレオンと対立し、一時的にローマから追放されましたが、1814年のフランス軍撤退に伴い再びローマへ帰還しました。


 

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