• 古代マケドニア王国 スターテル金貨 アポロ神/ビガ
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※裏面にかすり跡あり 

 古代マケドニア王国の王都 ペラで造られたスターテル金貨。このコインは、マケドニア王国の最盛期を築いたフィリッポス2世、アレクサンドロス3世(アレキサンダー大王)親子二代の治世中に発行されました。フィリッポス2世によるギリシャ征服、そして続く息子アレクサンドロス3世による東方遠征の為の軍資金として造られたとみられています。

 表面には光明神アポロの横顔肖像が打ち出されています。アポロ神は月桂樹のリースを頭部に巻き、凛凛しい若者の姿で表現されています。アポロ神は芸術や音楽、弓術、医術、予言などを司る多才な神であり、月と狩猟の女神アルテミス(ダイアナ)の双子の兄とされました。

 裏面には駆けるビガ(二頭立て馬戦車)の姿が表現されています。御者は高く杖を掲げ、左手で手綱を握っています。躍動感のあふれる素晴らしい造型です。下部にはフィリッポス王の名を示す「ΦΙΛΙΠΠΟΥ」の銘が刻まれています。

 このビガはフィリッポス2世が、BC352年(もしくはBC348年)に開催されたオリンピア競技祭で優勝したことを記念しているとされています。当時、ビガを競技会に出場させ、優秀な結果を示すことは富と政治力の誇示と同一視されていました。またオリンピアの競技会はギリシャ人しか参加できず、そこで優勝することは全ギリシャ世界への宣伝にもなりました。
 この優勝を大いに喜んだフィリッポス2世は、自らの名で発行される金貨にそのデザインを刻み、オリンピアでの勝利とギリシャ世界での覇権を示したのです。


 

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